ドル円はどこまで円高がすすむか

為替相場の注目ポイント。米国の量的緩和観測後退・・・債券利回りがさらに上昇すればドルの巻き返しも。政府・日銀の介入姿勢・・・輸出企業の採算取れず、介入の可能性高まる。RBA議事録・・・利上げ余地を排除しないものであれば豪ドル高をサポート。カナダ中銀理事会・・・政策金利は据え置き見通し。ハト派的声明となるとの見方も。英中銀議事録・・・資産買い入れ枠の増額巡る議論に注目。G20・・・ドル安や人民元問題が協議される可能性。会議前にドルのショートカバーも。

ドル円はどこまで円高がすすむか

先週までの2週間の市場の動きは劇的なものがありましたね。ドル円のドル史上最安値(1995年4月 79円75銭)の更新を目にするところまできています。歴史的瞬間は間近と言えるでしょう。まだまだこの動きから目が離せません。

 

日銀は実質ゼロ金利、量的緩和のカードを切った上、防衛ラインと言っていた82円を割って円高が進んでもG7での各国対応の手前、再度の介入に踏み切れないままでいます。為替介入については、以前にも書きましたが、先進諸国の了解や協力が得られないままでは介入効果は限定的なもので、サプライズ効果に頼るのみ・・・つまりいずれにせよ一時的な対応に過ぎないと言えます。

 

95年当時はドル円が最安値を付けた後、後に「ミスター円」と言われるようになった榊原英資国際金融局長による断続的な為替介入(ただし米国との協調介入)でドル円のトレンドは反転しました。その際、介入以上の大きな後押しとなったのは、米国の政策転換で、当時のルービン米国財務長官による「強いドルは国益である」という度重なる声明でした。

 

当時と決定的に異なるのは、現在は先進諸国が揃って自国通貨安競争を行っていて、自国通貨の強さを受け入れられる国がないということです。各国がこぞって、いかに自国通貨を安く誘導するかにしのぎを削り、それによって自国経済の立て直し(輸出力強化)することを目標にしています。

 

ちなみに資源国やアジアをはじめとする新興国にお金が流れ、それらの国々の通貨が強くなっていますが、そうした国々は95年当時の米国、(当時の米国も巨額の経常赤字を抱える状況でしたが)と異なり、国内基盤がまだ盤石ではないため急激な通貨高は経済を疲弊させることになってしまうというリスクをはらんでいます。

 

為替レートはご存じのとおり、2国間の通貨の交換比率ですから、双方の通貨とも安くなるということはありえません。片方の通貨が相手国通貨より安く(より高く)ならなければ、為替レートには反映されません。利下げ、量的緩和、それらの政策を効果的に他国に先んじて行えるか、市場にアピールできるか、という点がポイントです。

 

今の日本はそうした演出が苦手…下手と言わざるをえませんよね。ただでさえ日本は超低金利政策を長く続けてきたうえ、内需に力がないため、いくら国内で資金をジャブジャブ供給してもなかなか投資に結びつきません。そのうえ、他国を気にせず強気で政策を邁進させるといった強い政治力もありません。そんな中で、前述のようにゼロ金利、量的緩和のカードを切ってしまっていますので、こうなると「次」に出すものがない、もしくはかなり弱い手しか残されていません。

 

当然のことながら市場はこの状況をよく理解しています。これまで円高ドル安がすすむと個人投資家がドルの買い下がりをすることで、相場をある程度支えていたと見られますが、ついに個人投資家もドルショートに軸足を移しつつあるようです。市場が「下値を試したがっている」という状況になっていますね。上記のように日本に目ぼしい歯止め策がなく、米国への他力本願な状況にある今、どこまでドル円は下値を試すのかは未知ですが、しばらくはこの状況が続きそうです。

テクニカル分析「ピボット指数」で為替相場の方向性を予想

為替相場における予想をFX投資家に人気のテクニカル分析「ピボット指数」でおこないます。重要なテクニカルポイントの発生予想を以下にてご紹介いたします。

 

基準値は、前日の高値、安値、NY市場の終値をもとにしています。

 

H:ハイ・ブレイクアウト・ポイント(新しいトレンドの発生の可能性)
R:レジスタンス(上値の目途)
S:サポート  (下値の目途)
L:ロー・ブレイクアウト・ポイント(新しいトレンドの発生の可能性)

 

 

 <ドル/円><ユーロ/円><ユーロ/ドル><ポンド/ドル>
H    82.513   115.714     1.43344   1.62147
R2   82.070   115.227     1.42470   1.61621
R1   81.753   114.521     1.41114   1.60756

 

基準値 81.310   114.034    1.40240  1.60230

 

S1   80.993   113.328     1.38884   1.59365
S2   80.550   112.841     1.38010   1.58839
L    80.233   112.135     1.36654   1.57974

 

 

 

2010年10月11日からの週の為替相場(FX)、調整を交えながらもドル安が一段と進行した。ドル円は80円台と15年半ぶりの安値水準を記録。ユーロドルは1.41台と約9ヶ月ぶり高値を記録した。その他主要通貨に対してもドル安が強まり、ドルスイスは史上最安値を更新した。豪ドル/ドルはパリティ近辺へ上昇して28年来の高値を付けた。根強い米金融緩和期待が背景だった。市場では第二弾の追加緩和を意味する「QE2」との文言が流布した。

次週後半にG20を控えて人民元改革への圧力が強まり、米欧と中国との舌戦が激しく展開された。このような状況下で、日本は介入が困難との見方も広がった。シンガポルが通貨バスケットを拡大し、実質的な対ドルでの切り上げを容認したこともドル安の衝撃波となった。ドル安に歯止めが利かないなかで世界的に対立が激化、今後の協調の必要性が訴えられ始めた。