自分の取引スタイルを固める

FXで勝つために

多くの個人投資家が取引に参加しているFXだが、収益を掴んでいる投資家はほんの数割に過ぎないとも聞く。損失をできるだけ生まずに継続的に取引するために必要なことは何か。ステップアップへのヒントを探る。

まずは自分のスタイルを固める

日本でのFXは買いが主流だ。あらゆる相場環境で収益を得るチャンスがある点はFXのメリットだが、実際のところ個人投資家の売りポジションは数割程度に過ぎないレFXに限らず、外貨運用のきっかけを日本の超低金利と捉えているならば、外貨を売る行為はどこか不自然に感じるだろう。

 

リーマンショックの前までは、買いポジションだけでもよかった。円安基調が続いていたため黙っていても大きな利益が得られた。金融危機以降の混沌とした経済情勢では、為替についても大筋の見通しを持だなければ、思わぬ損失を生み出しかねない。震災後に起こった急激な円高では、強制ロスカットで手仕舞いとなったポジションが多く発生し、知らぬ間に損失を確定させられていたFX投資家も多かったと伝えられている。稀な事例ではあろうが、為替市場はこうした突発的な動きをすることもあると念頭に入れておけば、買い中心の取引でも対応の仕方も変わってくる。

 

為替変動のリスクに対して、どのように対処すべきか、シミュレーションをもとに考えてみる。表の上部は、同じ証拠金額でもレバレッジが異なることによって、為替変動への持ちこたえ度合いがどの程度違うかを比較したもの。 80万円の証拠金で、1ドル=80円の際にロスカット70%の基準で買いポジションを建てたと仮定する。

 

1ドル=79.5円になった際、外貨預金と同等のレバレッジ1倍では、5千円のマイナスで証拠金比は99.4%。レバレッジ25倍では12万5千円のマイナスで証拠金比は84.4%と、さほど両者に違いがないように思える。ところが、1ドル=75円にまで円高が進んだ場合はだいぶ様子が異なる。レバレッジ1倍でも5万円のマイナスとなり証拠金比は93.8%。レバレッジ25倍では125万円のマイナスで、計算上は証拠金額80万円を45万円も下回る損失を抱えてしまう、急激に円高が追み、ロスカットはもとより証拠金不足が発生するパターンだ。

 

1ドル=75円でもロスカット基準をエ回る取引を望むのであれば、レベレージは4倍程度までに止めておくのが無難だといえる。もしレバレッジ20 陪程度にまで資金効率を高めて取引したければ、数十銭のレンジで決済することを予め決めるべきであり、自然、短期トレードで取り組むことが必要だ。

 

FXでポジションを建てる際は、最大レバレッジを定めたうえで保証金を積み、1万通貨単位が一般的な外貨ベースでの運用額を設定する流れが多い。運用額は円ベースではなく外貨で捉える。運用額を1万ドルとして、レバレッジの違いを比較したものが表の下部になる。レバレッジが低いほど、円高が進んでもロスカット基準への抵抗力が強いことは、証拠金額を同じにした前述のシミュレーションと同様だ。注意すべきは、仮にロスカットされた場合、外貨ベースでの運用額が同じであればレバレッジが低い程、逆に損失額は大きくなる点だ。レバレッジ5倍で1ドル=78円になった際と、レバレッジ20倍で1ドル=79.5円になった際の証拠金比は同様だが、抱える損失額はレバレッジの低い方が大きい。レバレッジが低いからといって、必ずしもリスクが小さいとは限らない。

 

少ない金額でもレバレ不ジをかけることで効率の高い外貨運用を実現できるのは、FXの大きな魅力ではあるが、手元資金と想定する為替変動幅(レンジ)を前提に適切なレバレッジを決めるべきであろう。資金量にもよるが、低いレバレッジではスワップポイントを意識しながら、じっくりと為替差益を狙う運用を、高いレバレッジでは数銭から数十銭のレンジの中で、テクニカル分析を軸に、売りポジションも交えながら細かく差益を稼いでいく戦略を目指すのがFXの基本スタイルといえる。

 

他の運用手段と比較してみる

現在、人気の高い取引通貨ペアとして豪ドル/円かある。オーストラリアの高金利を背景としたスワップポイントの高さがその理由だ。

 

豪ドルに投資する手段はFXに限らない。豪ドルMMFや豪ドル建ての投資信託も近しい対象だといえる。FXを利用するメリットと弱みを整理したい。豪ドル/円のスワップポイントは、ある大手FX会社の場合で1万通貨当たり114(2011年4月11日現在)。為替レートを89円として、1万豪ドルを買いポジションした際の年率利回りをまとめてみた。

 

レバレッジ1倍では4.7%。豪ドルMMFと同程度の水準だ。為替変動の影響を同じように受けるため、手数料などを考慮するとFXに分かあるように思える。豪ドル建ての投資信託には、商品性と資産規模の高さから「ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型)」を例に挙げる。この商品は、毎月分配金を支払う運用方針を持ち、最近の分配実績と基準価額より割り出した分配金利回りは10.3%。FXのスワップポイントでは、レバレッジ2倍〜3倍程度の取引で同程度の利回りを実現する計算になる。レバレッジを4倍に設定すると18.7%の利回りになる。もちろんFXでは、レバレッジが高い分、為替変動リスクも高まるので注意が必要だ。

 

為替差益を強く意識した運用であればFXを、分配金という利益確定を重視したいのであれば投資信託という選択ができそうだ。

トレンドで投資タイミングを考える

レバレッジの程度に違いこそあれ、FXを継続してすすめるには、相場のトレンドを自分なりに考えるクセが必要になる。もちろん、トレード期間や想定レンジなど取引スタイルによって、その拠り所となるものは異なるが、世界の経済状況について最低限は理解しておきたい。中長期的にポジションを持ちたい投資家であれば、なおさらだろう。

 

FXストラテジストは、どのような指針で相場を読んでいるのだろうか。とある外資系ディーラーは「相対観と全体観」という軸で相場を読み解いている。相対観とは金利差など、全体観とは市場のリスク許容度を示す。金利差は各国経済の強弱、リスク許容度は世界経済全体の見通しを反映する。

 

金利差とリスク許容度という二軸で、円高、円安の傾向を単純化した図式で示してみた。日米欧の金利差が縮小し(もしくは縮小観測が広がり)、投資家のリスク回避志向が高まると円高傾向が強まる。大きな経済危機や地政学的危機が起こった際には、資金の投資先として円か買われ、円高が進むイメージだ。ちょうど逆の状況が震災以降の為替市場だといえる。リスク選好が高くなることで反対に円か売られ、商品や株式が買われて価格が上昇する。

 

ただし急激な変動の後には、必ずといってよいほど調整(寄り戻し)がある。市場は新たなテーマをいつも模索しており、リスクヘッジの為に反対売買を仕掛けようとする動きもそれだけ強まるからだ。もとより、中東の動乱や今回の震災のように不可測な出来事が世界では起こるため、見通しは移ろいやすい。

 

過去の為替相場をもとに、検証してみる。豪ドル/円相場の過去3年強の推移を眺めてみても、金融危機などで投資家のリスク回避志向が高まった際には急激な円高が起こっているのが分かる。その後には、ゆっくりと円安が進む局面や措抗した状態が続く。もしも、買いポジションを建てるのであれば、危機の覚めやらぬ時期が最適であったと結果的にはいえる。

 

豪ドルのような非基軸通貨の取引の際には、米ドルを交えたクロスレートでチャートを読むことが必要になる。具体的には、米ドル/円相場と豪ドル/米ドル相場の2つを組み合わせて見る。2つの相場がともに下がっているときは、豪ドル/円はより下落し、上がっているときは上昇する。問題は反対の動きを示しているとき。リーマンショック以降の中長期的な動きは、米ドルは円に対して弱含んでおり、豪ドルは米ドルに対して強含んでいる。いずれの勢いが強いかによって豪ドル/円相場は左右される。

 

2010年の6月以降、米国では失業率など各種指標が予想より悪化していることから金融緩和観測が広がった。それ以前に段階的に利上げを実施し、出口戦略をすすめていたオーストラリアとは対照的な状況で、豪ドル/円相場は措抗しながらもやや円安寄りに動いた局面だ。クロスレートでは、通貨のパワーバランスも加味したい。為替市場ではGDPで世界の4分の1を占め、いまだ基軸通貨を発行する米国の影響力が大きいのは確かだ。

 

ストラテジストを含め、経済の先行きを完璧に見通すことは不可能だ。同じ発表データを見ても視点や判断が違えば、予想も異なってくる。各ストラテジストのレポートから、共通する見解と異なる見解を読み比べる。そのうえで、自分なりの考えを導き出せれば、より納得できるFXが実践できるだろう。

 

現状のトレントと転換点を探りながら、投資タイミングを計りたい。もし見極めが難しければ、あえてポジションを建てずに待つか、複数のタイミングに分散してポジションを建てるのも有効だ。

欧州時間の為替相場(FX)では、ブラジルが欧州共同債購入に意欲的な姿勢を見せ、中国も欧州への投資を拡大する事を示した事もあり、ユーロが底堅く推移する展開になると、これが他の主要通貨に波及してリスク回避の巻き戻しへの意識が強まった。この背景には、上記のような材料のほかにポルトガル中銀総裁が、EUは財政問題解決をユーロ脱退なしに行う方針であると明言し、更には軟調だった欧州株式市場が一転して上昇する展開となった事もあった。